転職の思考法の感想・レビュー

著書「転職の思考法」について

転職関連の著書としてヒットしている「このまま今の会社にいていいのか?」と一度でも思ったら読む転職の思考法。皆さんはご存じでしょうか?

テンミリオンズ編集部内にも回覧されてきたので、今回の編集部日記はこの書籍の紹介と実際に読んでみた感想を皆さんにお伝えしていきたいと思います。

こちらは、主にハイクラスの人材に関するキャリアを研究している北野唯我氏がフィクション形式で綴っている著書です。

これまでも「転職成功ノウハウ!」「転職に失敗しないための〇〇・・」みたいな転職に関するノウハウ本は数多くありましたが、誰でもすぐに実行できる再現性と物語形式で分かりやすく伝えていくスタイルが評価され、異例のヒットを飛ばしています。

この本の特徴(構成)

  • フィクション・物語形式なのでサクサク読み進められる。
  • キラキラ系ではなく等身大の目線で書かれているのでリアリティーを感じる。
  • 軸となる思考法を習得することで、どんな時代でも使える知識になりうる。
  • 難しい部分は図解で分かりやすく説明されている。
  • 最後に「まとめ」があるので、頭すっきり!

既に読まれた方はおそらく同じような印象をお持ちだと思いますが、物語は主人公の青野氏が企業再生・経営コンサルタントの黒岩仁と出会うところから始まります。

主人公の在籍している会社で起きる不祥事と転職活動の2軸が同時進行。内(組織内)と外(市場)における人材価値の在り方を絶妙にリンクさせているのが特徴です。

そして最後に、主人公の青野氏や黒岩氏がそれぞれの章で書き記したメモがまとめて記載されているので、頭の中が整理された状態で終了できます。本が苦手な私でも、二時間もあれば読破できる内容でした。

章の見出しごとの感想・レビュー

プロローグ

このままでいいわけがない。だけど・・

プロローグの大見出しは、「漫然とした不安」の正体。

さらに、小見出しが「元エリートサラリーマン」の末路。

転職に必要なのは情報ではなく「思考法である」。

以上で構成されています。

プロローグの書き出し

「30歳前後がキャリアの分かれ道」。僕が本屋で手に取った雑誌のコピーには、そう書かれていた。パラパラとページをめくると、赤の太字で書かれた特集に目がとまる。

そこには「40代で昇進ポテンシャルがなくなった、大企業サラリーマンの悲惨な結末」が生々しく書かれていた。いわく、こうだった。

大企業でなんとなく20年働いてきた人が、業績不振により、早期退職を選ばざるをえなくなる・・・。なんとか、生活水準を落としたくない。そう思って必死に転職活動する彼ら。しかし、うまくいかない・・・・

プロローグを読んだ感想

自分のキャリアについて漫然とした不安を抱える主人公の青野氏が、以前に紹介会社を使った時の担当だったキャリアアドバイザー「赤神さん」とばったり再会。

彼女から詐欺まがいの会社を紹介されたことがきっかけで紹介会社には良い印象がない。彼女もそのことを後悔していたらしく、汚名返上の意を含め、現在勤めているコンサルタント会社の黒岩氏と引き合わせるところからストーリーは始まります。

そして、黒岩氏の本職は企業から報酬をもらう紹介会社の人間(転職コンサルタント)ではなく企業再生コンサルタント。転職相談については、個人からコンサルティングフィー(物語中では50万という高額)をもらう有償カウンセラー的な立場。つまり、企業と候補者、双方の立場を考える必要はなくサービスの軸足が100%キャンディディト(候補者)になっています。

転職に関する本と言えば、転職アドバイザーが必ずと言っていいくらい登場すると思っていたのですが、むしろ紹介会社に嫌悪感を抱くポジションの黒岩氏から転職に関してどんなアドバイスができるのだろう??と思わせる点が新鮮で興味が湧きます。

そして、この章のキーワードは「情報よりも思考が大切!」です。この情報過多時代には、情報を集める側のスキルがしっかりしてないとダメ。自分の市場価値という概念を軸にした思考法の基礎的な構造について書かれている章でした。

第一章

仕事の「寿命」が切れる前に伸びる市場に身を哂せ

第一章の大見出しは、「一生食える」を確保する4つのステップ。

小見出しとして、ステップ1に、自分の「マーケットバリュー」を測る。

上司を見て動くか、マーケットを見て動くか。

ステップ2に今の仕事の「寿命」を知る。

ステップ3に強みが死ぬ前に、伸びる市場にピボットする。

そして、ステップ4に伸びる市場の中から、ベストな会社を見極める。

以上で構成されています。

第一章の書き出し

お金の手続きが終わると、早速レッスンがスタートした。

「僕はまず、何をすればいいのでしょうか?」「よし、簡単なクイズから始めよう。ある会社に、AさんとBさん、二人の40歳の社員がいる。

2人は同じ会社に勤めている。だが、Aさんは今の会社が潰れたら生きていけない。一方でBさんは今の会社が潰れても生きていける。同じ年月働いてきたのに、全く違う結果の2人。それは2人が見てきたものが違うからだ。さあ、なんだと思う?」・・・

第一章を読んだ感想

ページ数が一番長い第一章。青野氏が在籍する印刷会社(組織が硬直化する典型的なダメ企業の例)が登場。上司や同僚との日常を描写しながら、50万で契約した黒岩氏のキャリアカウンセリングが本格的にスタートします。

この章のポイントは、内向き(会社)のキャリア構築ではなく、外向き(市場)のキャリア構築が大切だと言うこと。そして見ている市場は最適なのか?(成長産業なのか?)という点。

成長産業に身を置くことの大切さ。私も実は経験しています。市場が成長していると、成長率に差はあるものの、ほぼ全てのプレイヤー全員が同じように成長しています。

容易に成長できる環境にいる場合、会社はとても活気があり、儲かっているので社員の待遇もどんどん改善されていきます。つまりみんなハッピーな状態。

逆に、成熟産業・斜陽産業に身を置いてしまった場合、プレイヤー同士での殺し合いが始まっているので、少しの戦略ミスが即死に繋がってしまうケースも少なくありません。そんな市場に身を置く会社の社員は日常的な閉塞感に苛まれ、待遇は改悪されることが多い。つまりみんなアンハッピーな状態。

なので、相対的に言うと、成熟市場よりも成長市場に身を置いたほうが当然いいとは思います。ただ、成熟市場においても、イノベーティブなビジネスモデルで成長してる会社もあります。

もし個人のキャリアまで落とし込んで話をするなら、成長市場を見極める能力に加え、成熟産業においても問題点や課題を見つけ出して解決策を考えられる「businessモデルの分析能力」があれば、鬼に金棒。だと思いました。

第二章

「転職は悪」は、努力を放棄した者の言い訳に過ぎない

第二章の見出しは「組織の理論」が人の心を殺すとき。

小見出しとして、選択肢がないと、人は「小さな嘘」をつく。

「会社にとって本当に正しいこと」は何か。

会社を「居場所」と決めた瞬間、手段の目的化が起こる。

以上で構成されています。

第二章の書き出し

自分は何がしたいのか?黒岩の質問は、この一か月毎日のように考えたことだった。だから僕はすぐに答えられた。

「正直、今はまだ何がしたいか分かりません。ただ、黒岩さんが以前言っていた言葉の意味が少し分かってきました。僕は、生きていく力が欲しい。今はそう思っています」

「ほう」

「この一カ月は、僕のサラリーマン人生でいちばんたくさん人間の悪い部分を見た気がします。他人だけでなく、自分の弱さも含めてです。僕は、きちんと言うべきときに、ノーと言えなかった。自身がないからです。だから、食べていく力が必要だと感じました」・・・

第二章を読んだ感想

この章では印刷会社での不祥事を題材にして、なぜ内向きのキャリアしか考えてない人はダメなのか?

そして内向きのキャリア志向の人は、追い詰められると「窮鼠猫を噛む」的な理論で悪いことをしてしまう。

この点は、旧体質の日本企業の問題点を象徴批判してるように思いました。会社が成長している時は当たり前だったことが、そうでなくなった瞬間にすべてが負のスパイラルに入る。むしろ良いときほど、しっかり自分のキャリアを考えて外に軸足を移しておくことの大切さを解いているように感じました。

第三章

あなたがいなくなっても、確実に会社は回る

第三章の大見出しは、残される社員、ついてくるパートナーとどう向き合うか。

小見出しに、転職後期に生まれる「今の会社に残ってもいいかも」という迷い。

一緒に働きてきた仲間だからこその後押し。

パートナーへの相談は「共感」が命。

以上で構成されています。

第三章の書き出し

慌ただしく三週間が過ぎ去った。僕は、転職活動を再開するため、久しぶりに黒岩のオフィスを訪ねてみることにした。出迎えてくれたのは秘書の赤神ありさだった。エントランスから、黒岩の部屋に続く廊下で僕らは話した。

「久々のレッスンですね・・・会社は順調ですか?」

「はい、黒岩さんのおかげで会社は少しずつ、よくなってきています。僕もようやく転職をもう一度考える余裕ができました」

赤神が笑顔で頷いた。そういえば、最近は仕事に加え、転職の件で忙しく、ここしばらく彼女に会っていない。そんなことを考えながら、黒岩の部屋に案内された・・・

第三章を読んだ感想

転職の意向が固まった青野氏。彼女に相談すると反対され、口論に。最終的に分かれてしまいます。

1、ロジック

2、共感

3、信頼

キャリアを考えるのは自分だけの問題。でも転職となると彼女、家族等の当事者が増える場合がある。最近、転職が決まっても奥さんに反対されて転職できない現象を「嫁ブロック」というようですが、この章では、上記のロジック・共感・信頼の3点を軸に、外堀の固め方を指南しています。

私、個人的にはとても納得感があるロジックでした。もしこのロジックを駆使して説得してもダメな彼女や奥さんがいたら、それはあなたのキャリアには全く興味がないパートナーだと言えるのではないでしょうか。

第四章

仕事はいつから「楽しくないもの」になったのだろうか?

第四章の大見出しは、心から納得のいく仕事を見つけるために必要なこと。

小見出しとして、生きる「手段」としての仕事、「目的」としての仕事。

楽しくない仕事をする人間は結局、金に買われている。

ほとんどの人に「やりたいこと」なんて必要ない。

仕事の楽しさは「緊張と緩和のバランス」が決める。

自分に「ラベル」を貼り、コモディティから脱出せよ。

仕事は大変で辛いものなんて、だれが決めたのだろうか?

以上で構成されています。

第四章の書き出し

黒岩と相談し、実際に受けたのは三社だった。ともに、①成長産業であり、②技術資産が身につく企業だ。

A社:医療系サービスの広告営業統括

B社:教育系ベンチャーの商品開発

C社:営業支援ITサービスのプロダクトマネージャー候補

三社を選んだ理由はこうだった。

まず、医療(A社)は、そもそも、人口が減少していく中でも、珍しく顧客の数自体が増えていく数少ない成長産業だ。

また、医療業務はいまだにアナログな部分も多く、医師らの「経験と勘」に任されている部分が大きい。このベンチャーはそこにデータの力で切り込もうとしていた。ただ、懸念点もあった。

医療は成長産業ではあるが、どうしても自分が興味を持てなかったのだ。それに海外転勤があるのも、ボトルネックだと感じた。これが一社目の感想だった。次は、教育系ベンチャー・・・

第四章を読んだ感想

仕事とは?

皆さんも小さいころに、周りの大人から「やりたいこと見つけましょう!」と言われたことはあると思います。

さらに、新卒の就活では自己分析をするうちに「天職って何だろう?」と悩んだ経験が一度はあると思います。

でも現実問題として、やりたい仕事なんてなかなか見つからない・・と感じている人が大半。

個人的な考えになりますが、そもそも仕事はお客さんからお金をもらって、顧客が「やりたくない事」「できない事」、または「任せたほうが効率がいい事」の対価として仕事をもらっているので、主体は顧客。

つまり、自分が本当にやりたい事が本当にできる仕事なんてなかなか見付からないのは当然。

この章では、コトよりも状態の理論を説き、仕事の中で自分がどうありたいかが大切と伝えています。

214ページにあった黒岩氏のメモ

  • to to(コト)に重き多く人間・・何をするのか、で物事を考える。明確な夢を目標を持っている。
  • being(状態)に重きを置く人間・・どんな人でありたいか、どんな状態でありたいかを重視する。

この表現。「なるほど~!」と大きくうなずいてしまいました。

そして黒岩氏は、さらに・・分かりやすく仕事をロールプレイングゲームに置き換えて説明。

216ページと217ページのメモ

  • 自分の状態:主人公は適切な強さか。主人公は信頼できるか
  • 環境の状態:緊張と緩和のバランスは心地よい状態か

ドラゴンクエストやFFを知ってる人はおそらく「なるほど~!」と連呼してしまうと思いますが、緊張は、例えば仕事上の目標予算や納期・締め切り・クレーム対応などプレッシャー(ストレス)がかかる瞬間。緩和は、逆に仕事の中で感じられるやりがいや顧客からの感謝の意などを含め自分の価値が感じられる瞬間。

そして、仕事でストレス(緊張)が溜まっても、仕事でストレス解消(緩和)も出来る環境がベストな状態ということを説いています。

最後に

この著書は、転職意向が少しでもある人(潜在層&顕在層)に対して書かれたものですが、実は各章で人材会社の話題がいくつも登場してきます。

そして、黒岩氏は人材会社の問題点を遠まわしに指摘しながら本来のあるべき姿を提唱しています。

転職をお世話する業界に従事する人間は、企業と求職者の双方が顧客となる独特の立ち位置で仕事をしています。その立ち位置において、何を本質と捉え、どう双方のユーザービリティーを高めていくか?人材ビジネスに従事している人間向けにも何らかのメッセージが込められているように思いました。

転職の思考法

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